レンタカーの保険・免責補償・オプション
現代は車を持っていなくても手軽にレンタカーを利用できる便利な時代ではありますが、レンタカー会社が加入している保険や補償内容、オプションまできちんと把握できていない方は多いです。
運転者の中には「自動車保険なんて、どれも同じだ」と思っている方もいらっしゃいます。しかし、レンタカー会社によって万が一の場合の補償内容や上限金額が異なるため、いざと言うときに思っていた補償が受けられなかったり、自己負担金が発生したりする可能性もあるのです。
そこで、今回はレンタカーを利用する前に確認しておきたい保険内容や補償プラン、そしてレンタルする際の比較に役立つオプションなどをまとめてみました。
【レンタカーの保険1】人に対して支払われる保険
レンタカー会社は、すでに自動車保険(任意保険)に加入しています。ドライバーは基本的に自動車保険料が含まれた金額をレンタカー代として支払うため、レンタカーを利用するからといって個人で加入する必要はありません。しかし一口に任意保険といっても様々な種類があるため、利用前にはレンタカー会社がどの任意保険に加入しているか、またその限度額を調べておくことが大切です。
多くのレンタカー会社が加入している任意保険の代表として、「対人賠償責任保険」があります。対人賠償責任保険とは、自動車事故によって歩行者や自転車の運転者、相手または自分の車に乗っている他人に怪我を負わせてしまったり、死亡させてしまったりした場合に発生する損害賠償金の支払いを受けられる保険。
加入が義務付けられている自賠責保険では払いきれない金額の部分について、対人賠償責任保険の加入保険金額に応じて支払われる仕組みです。なお、対人賠償責任保険では対象となる「他人」に家族は含まれません。夫婦や親子も他人として扱われる自賠責保険とは違うため、注意が必要です。
対人賠償責任保険は、事故が起こった際の損害に対する費用の他、以下のような費用も保険金の支払い対象となります。
示談交渉費用
被保険者が行なう示談や、保険会社から同意を得た場合の宿泊費や交通費、通信費など。
協力義務費用
保険会社が行なう示談や調停、訴訟などに協力するために被保険者が支払った宿泊費や交通費、通信費などです。
争訟費用
被保険者と被害者間で損害賠償にかかわる裁判が発生した場合、被保険者が保険会社の同意を得て支払った争訟費用や弁護士報酬、仲裁や調停にかかった費用など。
臨時費用
対人事故において損害賠償責任が被保険者にあり、被害者が入院または通院、死亡した場合に被保険者が支払う見舞金や香典、交通費などになります。
人に対する賠償金は、被害者が怪我や入院をした場合の治療費はもちろん、事故がなければあったであろう収入も賠償するのが一般的です。これを「逸失利益」と言います。そのため事故の被害者が高所得者だった場合、かなり高額な賠償金が科せられることも珍しくありません。
実際2011年(平成23年)、平均所得が5,500万円の医師を交通事故で死亡させてしまったために、賠償金として5億843万円もの支払い命令が出た事例もありました。その他、被害者に高度障害が残った場合も、賠償金が高額になるケースがあります。この場合は、被害者の介護に必要な自宅改修の費用も、加害者がある程度負担する判決が出ました。
万一のことを考え、人に対する保険はしっかりと準備をしておくようにしましょう。この他にも、自分自身や同乗者が怪我をしてしまった場合などに支払われる「搭乗者傷害保険」や「人身傷害補償保険」なども人に対して支払われる保険です。
それぞれは、限度額として1件の事故に対していくらまでの保険金が支払われるか設定されているのが一般的。その限度額を超える損害賠償が発生した場合、上限金額を上回った部分は自己負担となるため注意しましょう。
レンタカー会社によって限度額に多少の差はありますが、おおよその目安は、人身傷害補償保険が1,000~3,000万円、搭乗者傷害保険が1,000~3,000万円です。対人賠償責任保険は無制限となっています。
【レンタカーの保険2】対物賠償責任保険
対物賠償責任保険とは、自動車事故によって他人の物を破損してしまったり、汚損してしまったりした場合に発生する損害賠償金の支払いを受けられる保険です。相手の車や建物、電柱やガードレールなどの財物に与える直接損害の他、バスやタクシーなどの業務車の休車損害や、店舗を巻き込んだ場合の休業損害、道路復旧費用やレッカー代、台車費用などの間接損害にも適用されます。
さらに、対人賠償責任保険のように示談交渉費用や協力義務費用、争訟費用、臨時費用なども保険適用の対象。ただし、対人賠償責任保険と同じく家族は「他人」に含まれないため、注意が必要です。また自分が運転していた車が破損した場合に支払われる「車両保険」もあります。
物に対する事故も人に対する事故と同じで高額になる可能性があるため、油断はできません。過去の判例としては交通事故で損害を受けたパチンコ店が、事故のきっかけとなった乗用車の運転手(運転手は死亡していたため、正確にはその両親)に賠償を求め、1億3,450万円の支払いが命じられた事例がありました。これは加害者側が訴訟を欠席したことも高額となった要因です。
対人ほど高額になる事例は少ないですが、それでも店舗休業などの営業妨害となった場合には、その店舗が休業している間の補償をしなければならないため、決して安くはありません。レンタカー会社では無制限としていない場合もありますが、万一のことを考えると無制限にしておいた方が安心です。
1件あたりの事故に対する限度額がある
対物賠償責任保険と車両保険には、1件の事故に対しての限度額が設定されているのが一般的です。目安の金額は、対物賠償責任保険が無制限または1,000~2,000万円、車両保険は車種によって異なります。
レンタカーを借りる前に、きちんと確認しておきましょう。大切なことは、万一のことを考えて、いくつかのレンタカー会社を比較・検討することです。
万一の負担額を事前に知っておこう
ご紹介したように、レンタカー会社は自動車保険に加入しているため、万が一交通事故を起こしてしまったとしても限度額内であれば保険が適用されます。とは言え、レンタカー会社が加入している任意保険だけですべて支払いが済むケースは珍しく、レンタカーの運転者が何らかの支払い費用を負担するのが一般的です。
ここでは、レンタカーで交通事故を起こした場合に負担する可能性の高い費用をご紹介しましょう。
対物免責額
対物賠償責任保険では補えない自己負担分の金額。対物賠償責任保険に加入していても、一定の損害額は運転者に支払い責任が生じます。これを免責と言い、多くのレンタカー会社が免責額を5万円と設定しているため、損害額のうち5万円までは運転者が支払わなければなりません。
プランによっては対物賠償責任保険の限度額が無制限のものもありますが、その場合も同じように一定の免責額は運転者の自己負担が必要です。
車両免責額
交通事故によってレンタカーが破損した場合に負担する費用。任意保険の一種として車両保険があるため、加入していれば保険金が適用されますが、対物賠償責任保険と同じく車両保険にも一定の免責額が設定されているのが一般的です。
そのため、免責額の負担を運転者に請求するレンタカー会社が多くあります。車両免責額も5万円が目安ですが、レンタルする車がバスなど大型の場合は、免責額が10万円程になるケースも少なくありません。
営業補償料
レンタカー利用中の交通事故の他、故障や汚損、盗難などにより修理や清掃が必要となった場合、車両の修理期間中または清掃期間中の営業補償として支払う費用を指します。補償料は損傷の程度や修理期間にかかわらず一律で設定されているのが一般的。
車両の損傷があったとしても自走が可能で営業店へ返却された場合には2万円、損傷が激しく自走が不可能なために営業店へ返却されなかった場合には5万円の支払いを求めるレンタカー会社が多く、たとえ自走が可能な状態でも、路上に放置するなどして営業店へ返却されなかった場合には5万円の支払いが必要です。なお、自走が不可能な場合の移動にかかるレッカー代は、運転者の実費負担となります。
保険適用外の損害賠償金
レンタカー会社が必要な保険に加入しているため、万が一交通事故が起こっても運転者自身が損害賠償金として支払う金額を抑えることができます。しかし、事故の大きさや状況によっては保険が適用されない可能性があるのが現状。
例えば、事故の際に自動車保険が適用されないケースは、まず「自動車保険の補償限度額を上回った場合」です。自動車保険には保証限度額が定められているため、その金額を超えた請求ができないことになっています。
この他にも、「契約者以外が運転していた場合」「無免許運転」「飲酒運転や酒気帯び運転をした場合」も自動車保険がききません。もちろん故意による事故も保険適用外です。レンタカーに関連した条件では、「レンタカー会社を通さず個人で示談をした場合」「契約時間を無断で延長していた場合」に保険適用外となります。
これらの他、駐車禁止エリアに違反駐車をしていた際の当て逃げ被害や、セルフ給油所にて油種を誤るなど管理上に過失があった場合も無効です。キーを抜かずに駐車していたために盗難被害にあった場合、レンタカーの約款に違反した場合なども、自動車保険が適用されない可能性があります。
これだけは知っておくべき2つの補償制度
ここまでご紹介したように、レンタカー会社が加入している任意保険だけでは損害賠償金をカバーできず、事故や車両破損の程度によっては「対物免責額」「車両免責額」「営業補償料」など自己負担が必要になる可能性が十分にあります。
しかし、追加料金を払って手厚い補償を備えておけばこれらの免責額や営業補償料が免除になるため、利用するのがおすすめ。ここでは、レンタカーを契約する際に加入しておきたい2つの制度をご紹介しましょう。
免責補償制度
免責補償制度とは、「対物免責額」「車両免責額」の支払いが免除になる制度です。これらの免責額はそれぞれ5万円が一般的なため、万が一交通事故を起こしてしまった場合には最大10万円の自己負担が必要となります。損害賠償金の数百~数千万円に比べると金額は大幅に低いものの、決して安いお金ではありません。
免責補償制度は任意保険のため加入の義務はありませんが、数千円の追加料金でもしもの場合の免責額を免除してもらえるため、万一を考えて加入しておきましょう。免責補償の追加料金は、レンタカー会社によって異なります。大手レンタカー会社の免責補償料をまとめると、おおよそ1,000~1,500円(24時間)が相場。クラスにより料金が上がっていきます。
ノン・オペレーションチャージ(NOC)補償制度
「営業補償料」の支払いが免除になる制度。上記でもご紹介したように、車両の修理や清掃が必要となった場合には、その程度に応じて2万円または5万円の営業補償料が発生しますが、ノン・オペレーションチャージ補償制度に加入しておくことで免除されるため、安心のためには加入をおすすめします。
追加料金はレンタカー会社によって異なる他、制度を設けていない場合もあるため契約前には確認しておきましょう。大手レンタカー会社の料金を比べると500~700円(24時間)程度。免責補償制度とセットになったプランに加入しておくと1,500~1,700円程度となり、クラスにより料金が上がります。
このように安価な料金で万が一の補償を受けられるため、レンタカーの契約時には「免責補償制度」「ノン・オペレーションチャージ補償制度」に加入しておくのがおすすめ。ではレンタカーで交通事故を起こして激しく損傷したため、自走不可能となった場合の負担金額を比べてみましょう。
レンタカー会社が加入している任意保険のみの場合
対物免責額5万円、車両免責額5万円、営業補償料5万円、合計15万円となります。
免責補償制度に加入している場合
対物免責額は免除、車両免責額も免除です。営業補償料のみ5万円負担で、合計5万円となります。
免責補償制度、ノン・オペレーションチャージ補償制度に加入している場合
対物免責額と営業補償料、営業補償料がすべて免除です。よって自己負担額は合計0円。
この比較からも分かるように、補償制度に加入しているか否かで負担金額が大きく変わります。事故を起こさないことが最善ですが、万が一の事態に備えておくのも重要です。
あると便利なオプション
レンタカー会社を選ぶ際には、免責補償制度やノン・オペレーションチャージ補償制度の他にオプションを比べてみるのもおすすめ。例えば、車を持っていなくてチャイルドシートがない方も、レンタカーを借りるときにはチャイルドシートを借りて車に子供を乗せることができます。
ここでは、あると便利なオプションや、大手のレンタカー会社の料金についてご紹介しましょう。ドライブや引越し、レジャーなど用途に合わせたオプションが揃っているため、活用すればより安心・安全です。
カーナビゲーション
慣れない土地や遠出の外出に便利なカーナビは、今やドライブに欠かせません。遠出の際には利用すると助かるオプションのひとつです。基本的には目的地を選択するナビゲーション機能が主ですが、レンタカー会社に返却場所を入力しておいてもらうようにお願いすると、返却場所を設定してくれるレンタカー会社もあります。
またラジオやCDを聴くことができる他、BluetoothやUSBを使用してスマートフォンやポータブルオーディオの音楽を楽しめたり、通話したりも可能です。
ただカーナビも完璧ではありません。施設検索に引っかからなかったり、最新の道路状況には対応していなかったりする物もあります。また、近道ではなく安全性を優先する場合もあり、必ずしも最短距離を案内してくれるわけではないことを覚えておきましょう。
ちなみにカーナビは道路に停車して、サイドブレーキをかけた状態でなければ操作できない物がほとんど。仮に操作できたとしても、運転中の操作は非常に危険なため、必ず停車してから操作することが大切です。料金については、大手のレンタカー会社では無料となっています。
ETCカード
渋滞や財布を出す手間を気にせず、スムーズに料金所を通行できるETCカードがオプションで付けられるレンタカー会社もあります。高速道路を利用する、長距離のドライブにおすすめです。ETCカードを利用すると、高速の利用料金とレンタカーの利用料金を一括清算できて便利。ただしレンタカーの貸出期間中は、基本的にETCカードの管理が利用者に一任されるため、注意が必要です。
万一盗難に遭って別の人間が利用したとしても、レンタカー会社によっては、レンタカーを借りた利用者に賠償を求める場合があります。ETCカードを借りた際には、管理をしっかりと行なうようにしましょう。大手のレンタカー会社の場合、1回あたりの利用料金は300~500円前後です。大手でもETCカードの貸出は原則なしとしている会社もあります。
チャイルドシート
6歳未満の子供が同乗する場合は、チャイルドシートの着用が義務付けられています。しかし車を普段運転しない人は所持していない場合が多く、仮に持っていてもチャイルドシートを付け替えるのは非常に面倒です。こうした場合に備え、レンタカー会社ではオプションでチャイルドシートを用意しています。
数種類のチャイルドシートを用意しているレンタカー会社が多いため、年齢や身長、体重に合わせて選びましょう。なお9ヵ月未満の赤ちゃん用に、ベビーシートを用意しているレンタカー会社もあります。料金は1日あたり500~1,000円程度です。会員ランクによっては無料です。
幌(ほろ)
商用車などをレンタルする際に便利な幌は、大切な荷物を風雨や砂埃、直射日光から守る物です。店舗により料金が異なる場合もありますが、1レンタルあたり1,000~3,000円程度が目安となっています。
ロープ
引越し、荷物の運搬などに便利なロープもオプションとしてレンタルできます。レンタカー会社によっては、ビニールシートなども貸出可能。必要な本数をレンタカー会社に伝えましょう。料金は1レンタルあたり300~500円程度ですが、店舗により料金は様々です。
この他にも商用車を借りる場合、ハンガーパイプやラッシングベルト、パワーゲートなど、付随する様々な商品を借りられることがあります。借りられる物はレンタカー会社によって違うため、事前に確認しておきましょう。
台車
引越しや荷物の運搬の他、大きな買い物をする際にも便利です。レンタルしたい場合には、必要な台数を伝えましょう。料金は1レンタルあたり700~1,000円程度。台車の利用も店舗により料金は変わってきます。
スキーキャリア
スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しみたい場合には、レンタカーとともにスキーキャリアのレンタルがおすすめです。シーズンオフ期間の保管も必要なく、購入するよりも安く済みます。
大手レンタカー会社の料金は、1レンタルあたり700~2,000円程度。店舗によって料金が変わるため、安く済ませたいのであれば車のレンタル料金と合わせて確認しておくことがおすすめです。
タイヤチェーン
雪国に住んでいない人が、雪の降る地域へ行く場合、タイヤチェーンがあると便利です。雪道の運転に必要なタイヤチェーンも、レンタカー会社でレンタル可能。冬場のドライブやお出かけにも安心です。ただし地域によっては貸出を行なっていない場合もあります。スタッドレスタイヤと金額が変わらない場合もあるため、お出かけ先の雪の降り方や価格によって、スタッドレスタイヤと比較して選びましょう。
なお、高速道路には、チェーンの着脱所があるため、雪が積もっている地域に行く場合は、着脱所でチェーンの着脱をするのがおすすめ。またチェーンを付けたからといって、必ずしも雪道を安全に走行できるとは限りません。チェーンを付けていても、雪道ではゆっくりと走り、ブレーキを早めに踏むなどの対処を行ないましょう。
料金については、大手レンタカー会社で1レンタルあたり1,500~2,000円程度が目安。ダブルタイヤ用タイヤチェーンの場合はさらに料金が上がります。店舗によって料金が変わってくるオプションなので、事前に確認しておくことがおすすめです。
4WD
雪道や荒れた場所を走行する可能性がある場合、オプションで4WD車にすると荒れた道もすいすいと走れます。すべてのタイヤに効率の良いパワーを配分できるため、力強い走りができることも嬉しいです。
4WDの利用料金は、大手レンタカー会社で1日あたり1,500~2,000円程度。クラスにより料金が上がります。
これらの他にもJAF会員証や駆動輪、ブルーシートなど便利な有料オプションや、携帯音楽プレイヤーを車のスピーカーに接続して聴くことのできるFMトランスミッター、初心者マーク、高齢運転者マークなどの無料オプションが充実しています。
レンタカー会社によって取り扱いや料金、予約方法が異なるため、レンタル希望の場合はあらかじめ確認が必要です。車のレンタルを考えている方は、利用場面に応じて必要な物を書き出してレンタカー会社に相談しておきましょう。
※この記事は、2018年2月時点の情報に基づいて作成されています。
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